華麗なる解錠のワザ

解錠のワザ

鍵を失くした人のもとを訪れ、解錠を行う。鍵紛失というトラブルを解決する鍵屋の仕事だが、実際に仕事をしている彼らの手もとの動きについて、細かく描写することは出来ない。
なぜなら、その技術の細かいところを詳細に漏らさず明るみに出すのは、なかなか障りのあることだからだ。
何しろ、その技術は鍵を失くした人を助けてくれるものでもあるが、同時に悪用しようと思えば出来ないものでもないからである。

とはいえ、そのワザの名前くらいなら書いても構わないだろう。
例えば、「バンピング」や「カム送り」、「サムターン回し」といった名前である。いかにもワザっぽい名前であろう。これらの技術を習得してさえいれば、どんな鍵が出てこようと、たいていのものは解錠可能であると言える。
単純なギザギザタイプの鍵から、ギザギザはない代わりに表面のデコボコが複雑になっているタイプの鍵など、今ではあらゆるタイプのものが存在している。鍵を差し込むシリンダーもさまざまである。
「ピン」と呼ばれる部品が動くことで解錠される構造になっているシリンダーだが、最近ではピンがひとつではなく複数備わった防犯性の高い製品も多く出ている。
泥棒はますます家に近づけなくなり、鍵を失くしてしまった人はますます困ってしまう。針金でちょいとつつけば開くような鍵は、もはや存在しないと言っても過言ではないのだ。

そこで、鍵屋は「パンプキー」と呼ばれる万能鍵を使ったパンピング解錠、シリンダーをドアから浮かして隙間から道具を差し込んで鍵開けをしてしまうカム送り解錠、ドアと壁の隙間から道具を差し込んでサムターンを回すサムターン回し解錠などの技術を磨くのである。
(サムターンとは、ドアを内から開け閉めするための金具である。90度にひねって開閉する)

ところで、特にどこかの施設やオフィスビルなどでは、電子キーを採用しているところも多いだろう。いわゆる「電子錠」と呼ばれている、道具を差し込んだり回したりでは開けられない鍵のことである。
こういった鍵に関しては、まずは合鍵やスペアキーのような物は本当にないのか探すところから始まり、もしいよいよないとなれば、鍵を壊すことでトラブルを解決する。
ただ壊すのではなく、「電子錠」以外の部分が壊れたり傷ついたりしないように壊すのだから、そこにも職人的な技術が必要となる。