個人的な鍵トラブル

トラブル

夕暮れどき、住宅街からカレーの匂いが香ってくる頃、フンフンと鼻歌まじりで家に帰ってくる人がいる。何か、いいことがあったのだろうか。
大変な仕事が終わって、浮かれているだけかもしれない。一杯ひっかけてきたのかも。
とにかく、機嫌よく帰ってきて、やがて家のドアの前に立ってポケットをゴソゴソ。鍵を探しているのだ。そう、右のポケット……それから左のポケット。上着の内ポケットにシャツの胸ポケット。
鼻歌は消えた。顔からはとっくに笑みは引いている。どうやら、彼は「やってしまった」ようだ。

こういうことを、まったく経験しなかった人はいないだろう。ポケットのどこを探っても鍵が見つからない、という状況。もうちょっと根気よく探せば、実はカバンの中にあったとかいうことが分かるのだが、見つかるまでは気が気でない。
何しろ、それは我が家のドアを開け閉めすることが出来る鍵なのだ。それがなければ、せっかく家に帰ってきたというのに中に入ることは出来ない。誰かが家で待っていると言うならまだしも、ひとり暮らしとなるとちょっと大変である。
「開けてくれえ」と言ったって無理なのだ、鍵は彼だけが持っているのだから。
鍵紛失……。これが個人的に経験する鍵トラブルのひとつなのである。

ところで、鍵とは紛失してしまうものであると同時に、壊れてしまうものでもある。鍵と、それを差し込むシリンダーから成り立っているこのシステムのうち、どちらも壊れる可能性をはらんでいる。
例えば、鍵を差し込んで回そうとしたら上手く回らなくなった、という状況。これでは鍵を開けることが出来ない。
または、差し込んで回そうとしたら力が入りすぎ、勢い余ってキーが折れてしまった、という状況。これまた、鍵が開く前にお手上げである。
あるいは、シリンダーの方に問題がある場合も。シリンダーの穴に細かいゴミや何かが詰め込まれていて、鍵が通らなくなったという事例がある。心ないイタズラだが、私たちからしてみれば大問題だ。

また、鍵はきちんと差すことが出来るし回るし……ということで不満を持っていない場合でも、安心しきっていてはいけない。
というのも、長く使い続けている鍵はそれだけ古いタイプのものとなっていき、泥棒に狙われやすくなってしまうのである。泥棒などというのはしょうもない人間だが、彼らも技術力を高め、長く使われている鍵に対してはさまざまな方法を使って不法にこじ開けようと狙ってくる。

失くしたり、壊れてしまったりしたのを、新しく作ったり修理したりすることが必要である上に、防犯のための「鍵交換」も考えておくべきなのだ。